英語の探究授業、基礎から事例まで徹底解説!
技術の発達やAIの登場によって、目まぐるしく変わり続ける社会。現代社会を生き抜く力を身につけるために今注目されているのが学校での探究授業です。急速に変化し続ける世界では、自身の力で物事を考え、様々なグラウンドをもつ人々の考え方を反映しながら、主体的に社会と関わっていく力が求められます。今回は社会情勢を受けて注目を集めている探究授業とはそもそも何なのか、そして全国で行われている事例まで解説していきます。
探究授業とは?
まず、探究授業の定義についてご紹介します。文部科学省によると探究授業とは、「総合的な探究(学習)の時間」として「探究の見方・考え方を働かせ,横断的・総合的な学習を行うことを通して,自己の在り方生き方を考えながら,よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す」ことを目指したものとされています。つまり、情報化やグローバル化などの社会の大きな変化に対して、知識・経験を活かしながら主体的に課題発見・解決する力を育成するためのものなのです。
具体的に探究授業での育成を期待される能力が3つあります。1つ目は「知識及び技能」,2つ目は身に着けた「知識及び技能」とどう活用するかを考えるための「思考力,判断力,表現力等」,最後に課題解決に対して主体的かつ共働的に取り組むための「学びに向かう力,人間性等」です。これらの能力は文部科学省の定める望ましい探究学習の過程を踏むことで養成されていくと言われています。その「望ましい探究学習の過程」とは以下の4つです。
①【課題の設定】体験活動などを通して,課題を設定し課題意識をもつ
②【情報の収集】必要な情報を取り出したり収集したりする
③【整理・分析】収集した情報を,整理したり分析したりして思考する
④【まとめ・表現】気付きや発見,自分の考えなどをまとめ,判断し,表現する
この4つの過程を繰り返していく中で、生徒の自主性や創造性、協調性を育んでいくのが探究授業の意義です。
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探究授業(英語)の事例
ここでは全国で行われている探究授業の事例を3つの探究分野に分けてご紹介します。
①茨城県立竜ケ崎第一高等学校の事例(国際交流的探究)
茨城県立竜ヶ崎第一高等学校では例年の近隣大学の留学生との国際交流がコロナ禍により困難になったため、代替案としてオンラインで2020年11月にインドとモンゴルの高校生24名、竜ヶ崎第一高校1年生24名が参加した「レインボー国際交流」というプログラムを実施しました。事前学習も行い、交流当日は「日常活動や部活動(課外活動)について」、そして「グループごとに興味のあるSDGsについて」という2つのテーマでスライドを用いてディスカッションとプレゼンテーションを行いました。事前にZOOMの使い方の講習やリハーサルも重ねたことでスムーズにオンライン国際交流を行うことができ、参加した生徒からは、「新しいことを知ることができ,もっと英語を頑張ってコミュニケーションを取れるようにしたい。」といった、英語学習へのモチベーションアップを感じられる感想もありました。
参照:https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/koukousei/20210331-mxt_kouhou02-5.pdf
②関西学院高等部の事例(国際交流的探究)
関西学院高等部では「Global studies 3」という探究授業科目の一環として、2022年には1年間を通して、気候変動とそれに関わる問題について、海外生と探究を深めました。プレゼンテーションを通して、両国の気候変動に関する問題について理解を深めた後、実際に問題を解決するためにできることを考え、アクションプランに落とし込み、海外生とともにアクション実行まで行いました。
また2023年には食品ロス問題や環境問題、ヤングケアラー等子どもに関する問題などの探究課題について、グループごとに海外にインタビューするオンライン国際交流授業が行われました。参加生徒からは「日本だけでなく海外まで思考の範囲が広がって良かった」、「日本以外の国が、大気汚染問題に対してどのようなイメージを持っていて、どのような対策が取られているのか知れた」などの感想をいただきました。
参照:https://sh.kwansei.ac.jp/about/wwlc/global-s_21-22
③福島県立あさか開成高等学校の事例(国際交流的探究)
あさか開成高校では「知ってほしい、私たちの福島」をテーマに東日本大震災についての英語の発表と、海外生徒との「今私たちにできること」についてディスカッションする授業が開かれました。東日本大震災からの復興や原発問題についての理解を深め合うと共に、異なる価値観をもつ海外生徒との意見交換を行うことで「災害についての理解をお互いに深めることができた」、「海外生徒が意見を堂々と発言する姿に感動した」とのお声をいただきました。
また2022年にフィリピンのオンラインスタディツアーを実施した後、フェアトレード商品の販売を行ったり、シリア・トルコ地震発生時には募金活動、2023年にはザンビアのオンラインスタディツアーを実施した後に現地への洋服寄付を行うなど、授業だけにとどまらない探究を進めています。
④世界合同プレゼンテーションの事例(国際交流的探究)
With The Worldでは、日本と海外の中学1年生から高校3年生の学生を対象にプレゼンテーション大会を主催しています。2022年度は全国から16校、交流国11カ国が参加し、「身近にある問題だと思うこと」をテーマにプレゼンテーションを行いました。本大会では日本部門の1位を松蔭中学校・高等学校の生徒が獲得しました。発表テーマは紙の過剰利用についてで、生徒自身の視点から社会に向けた力強いメッセージが発せられました。また海外部門では、台湾の生徒が1位を受賞。SDGs4「質の高い教育をみんなに」について発表しました。
関連記事:https://www.withtheworld.info/sekaigodo
https://withtheworld.co/world_presentation_seikyo/
探究授業を支援する補助金
このような能力を育てる探究授業を行うためには、生徒に学校内外での様々な体験・経験を与えることは必要不可欠です。そのためこのような体験・実践を伴った探究授業を支援する補助金があります。それが「探究的な学び支援補助金」です。「探究的な学び支援補助金」とは、教育機関における探究学習の推進を目的とし、学校等の教育機関において、探究学習や情報活用能力育成に関するサービスを提供する事業者を無償で利用できる制度です。詳しくは下記HP等をご参考ください。
参照:探究的な学び支援補助金 導入校募集 | WithTheWorld
探究的な学び支援補助金2023 (tankyu-hojo.jp)
最後に
私達、株式会社With The Worldは世界で起きている社会問題について、多様なバックグラウンドをもつ生徒と探究していく授業を多数提供しています。
グローバル化が進む現代社会で活躍するには、多様なバックグラウンドを持つ人々と協働して課題を発見し、それを解決する力が必須になるでしょう。生徒たちのそのような力を伸ばすためにぜひ探究授業の機会を活かしてみませんか?
お問い合わせ: https://withtheworld.co/contact/